自分に性別の違和感があって、治療していきたい場合どうしますか?
ネットで調べる、同じ友だちに聞くことも多いかと思います。
みなさんが治療するに当たって、迷わないよう一応、治療のガイドラインというものがあるのです。
「性同一性障害のガイドライン」は、みなさんは聞いたことがあるでしょうか?
性同一性障害ガイドラインとは?
治療のことなどが記載されているのですが、ほぼ医療者向けに書かれたもので、医学用語も含まれていて、一般のひとには少し難しいかもしれません。
必ずしも、このガイドラインを絶対守って治療しなければいけないといこともありませんし、ガイドラインに沿っていないで治療をしていても、最終的に性別変更する際にも支障を来すことがありません。
念のため、このガイドラインについて、当事者のひとにもわかりやすいように説明していきましょう。
性同一性障害のガイドラインの趣旨
要約すると、性同一性障害の治療は、次の順番に治療が進められることが多いです。
- ①精神的サポート
- ②ホルモン治療と乳房切除術(胸オペ)
- ③性別適合手術(生殖系に関する手術)
これらの治療は、この順序通りに画一的に受けなくてもよくて、本人の好きなように希望する治療から行うことができます。ただし、治療を始める際には、たいていの医療機関では、性同一性障害の診断が必要になります。
①精神的サポート
自認する性が本来の性とは別の性であっても、日常生活で自分の希望する性として、日常生活などで慣れるようにする、違和感がないことなどを確認します。
これを最低1年過ごします。これをReal Life Testといい、実生活を試す期間とされます。
FTMのひとたちは、幼少期の頃から、男の子として生活しているひとも多く、成人になるころにはほぼ男子になっているひとも多いでしょう。
また、社会にも馴染みやすい傾向があります。
一方、MTFは、性自認が女性ですが、日常生活では女性として生活しているひとが少ないため、すぐに女性としての実生活を始めることがFTMより少し難しい面もあります。
GIDの治療を進められるように、精神的なサポートを医療機関、周囲のひとたちを含めて当事者を応援していきます。
②ホルモン治療と乳房切除術(胸オペ)
改訂された第4版では、②の治療対象を18歳へと引き下げられました。
20歳から年齢が下がり、適応範囲が飛躍的に拡がったので、当事者にとっては効率に治療が受けられるようになります。
男性ホルモン治療
FTM、MTFに共通しますが、乳房切除術はFTMのためで、MTFは関係がありません。また、MTFの胸を大きくする豊胸に関しては、ガイドライン上での注意事項はありません。
乳房切除術(胸オペ)
乳房切除術(胸オペ)は生殖機能に影響を与えないことから、性別適合手術とは別の治療と考えます。
乳房再建の1つで、呼び方がいろいろあります。
単に乳腺だけを摘出する場合は乳腺摘出術と呼ぶ、胸が大きくて、乳腺組織以外の余剰した皮膚まで取り除く場合には、広い意味で乳房切除術と呼びます。
FTMの間では、通称名として、「胸オペ」と呼ぶことが多いです。
治療の順序は、本人が望むものから最初に行えばよいのでしょう。
胸オペを先にしてから、次にホルモン治療を受けることもできます。ただし、現実的には性別適合手術を最初にするひとはほとんどいません。
たいてい自分とは別の性の特徴である男性化を早くから望む傾向があります。
FTMの男性化:胸の膨らみがもっとも気になるひとは胸オペ、低い声を希望し、顔貌も男性化を望むひとは、男性ホルモン治療を最初にします。
③性別適合手術(SRS)
FTMは、子宮、卵巣を摘出することが、性別変更する際の必須条件になります。
陰茎形成(ペニス形成)は必須ではありません。
日常生活でもストレスなく生活できている方は、性別の変更にこだわることなく、性別適合手術を行わない人もいます。
性別変更が必要だと思うときに行ってもよいのかもしれません。
世界的な流れとしては、この性別適合手術をしなくても性別変更できる国もぼちぼち出て来ています。
WHO(世界保健機構)は、この性別適合手術は「身体への虐待」と表現し、一刻も止めるように世界各国に勧告しているぐらいです。
日本では、民法(家族法)の問題もあり、なかなか法の整備が進んでいません。
さすがに小学生では適応がなさそうです。胸オペなら15歳くらいから可能ですが、未成年は親権者の承諾が必要です。