FTMが困ることの1つに、「生理」が来てしまうことです。
もちろん、男性ホルモン治療をしているのにです。男性ホルモン治療の目的は、女性らしさの特徴を消し男性化させることです。
たいていは、男性ホルモン治療後にしばらくすると、生理が止まるものです。
ところが、何カ月もなかった生理が急に来たり、なかなか止まらないひともいます。
男性ホルモン治療で、卵巣の機能が低下もしくは、停止しているだけであって、一時的に活動していないだけで、卵巣機能が廃絶(閉経)しているわけではないことが理由です。
生理が来る原因
男性ホルモン濃度が低い、もしくは不安定
【対処法】濃度を濃いもの(125㎎→250㎎)にするか、注射する間隔を短くしてみる。安定性を求めるのであれば、ネビドを使う。
男性ホルモン濃度が高すぎる
ホルモン濃度が高いと生理が来る?これはどういうことでしょうか?
まずは、生理が来る仕組みを知る必要があります。生理が来るということは、排卵が来てしまったということです。下の図を見てください。
排卵が来る仕組みは、脳内にある下垂体から卵巣に働きかける卵胞形成ホルモンの分泌がされることにより起こります。
また、体内に女性ホルモンが少なくなくなると、その指令を脳にフィードバックし、女性ホルモン分泌を促す仕組みがあります。
FTMの場合はどうでしょうか?
男性ホルモンが体内に入ってくると、卵巣の機能が低下し、女性ホルモンが分泌されなくなります。そのため、生理が止まります。
ところが、ひとによって、この女性ホルモンが体内になくなりすぎると、女性ホルモンを出さなければと脳下垂体がフィードバックを受け、逆に黄体形成ホルモンが多く分泌されます。
そのため、卵巣から排卵され、生理が来てしまうのです。
【対処法】
250㎎を注射しているひとは、125㎎に変更してみる。これは、身体の男性ホルモンの血液濃度を安定させる目的です。
黄体ホルモンを一時的内服する。この目的は、女性が避妊するために内服するピルと同じ作用を利用します。
黄体ホルモンを投与することにより、身体が妊娠している状態を維持させることになります。
女性化することはありません。